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『遅い春を追走す』

2012年4月の走る言葉  

 遅い春。われらの「息切れして速く走るよりは、ゆっくり走が人間には向いているのだ」という走る理念に自然は従ってくれたのか、ゆっくりと春は進んでいます。でも、そんなにゆっくりされると、私たち人間は、ますます季節感が鈍くなり、われらランナーもいつまでも冬の走りで単調で退屈になってしまっているのです。「スピードが上がらないな」とか、「肥って体が重い」といいながら・・・
 最近、春になっても、初夏になっても「フルマラソンに出ます」というランナーが多くなりました。私が「春ですよ、もう、やめたらどうですか」と言えば、「どうしてですか」と、言われることが多いですね。
 今、この原稿をヴィヴァルディの『四季』を聞きながら書いています。その『春』の曲が流れてくると他の季節とは全く異なる新鮮な、躍動的なリズムとハーモニーが流れてきます。音楽も走楽も感性豊かな遊びの世界。となれば、そろそろ冬のかけっこは止めにして、春の走りに変えて自然の春を早く誘ってあげましょう。
 土の道は、とっくに土筆やフキノトウが顔をだし、たくましい雑草が青々と生え、土は緩み弾む大地。梅咲く林、桜咲く公園を走れば香りで体は春爛漫。そのなかでのゆっくり走は、いつしか、気持ちも体も燃えスピードが上がる。と、息が上がり疲れが出て長くは走れません。でも、それが春にふさわしい走りなのです。
 春は、五感が刺激され、単調ではなく、豊かな走りをする時ですね。フラットな道から起伏の富んだ柔らかい足元。春の風景を探すようにコースを日々変え、スピードも単一にならぬようにいろいろなスピードでの方法をつくります。そして、春は子どもに戻る時。子どものように自然で柔らかい自由奔放なフオ―ムの復活。練習も大会も、人間だけではなく、春の生き物たちと一緒の集まりをつくりたし。
 やがて、若々しいランナーに変身になることが春の走りの目標です。

走る春

 春。まぶしくなった光を浴び、暖かい風に押され走ると、背中に汗をかくほどになってくる。枯れた大地には一足早くツクシやフキノトウが顔を出し、色々な雑草の花が咲いてき、「小さくて可愛くて、美しい」と感じ,走るスピードは下がってくる。走れば、自然を一杯に感じて詩人にも、絵かきにも、音楽家になれるのだと、春は一段と思えてくる。
 でも、いくら走っても、空を見上げれば、「がらんとした暗いみぞれのそらがひらいてゐる」という、宮沢賢治の詩が浮かぶ。「ああいま前に展(ひら)く暗いものは まさしく早春の北上の平野である」(五輪峠)この3月の大災害は春の訪れがあまりにやさしく、あたたかく、うつくしく感じられ、悲しみも辛さもとても消えることはないのである。だから、ただひたすら走りながら、亡くなった命に次の世こそ幸せでいて下さいと思うしかない。
 マラソン大会は次々と中止になり、普段の風景のなかのランナーも減っているように思えてくる。しかし、大会のためだけに走っているのではなく、心に問いかけ、体の心地よさを感じて春の季節の生き物になっていこうとすることができるのだ。今こそ、自らで走り、いつの日か天地が落ち着き、被災の方々の生活が戻ってきたならば、また一緒に大会に参加をして創ろうではないかと思いたくなってくる。
 我ら「ランニング世界の友の会」はランニンングの広がり、つながりを求めた仲間の集まりであり、春こそ新しい走りと走友を求めたい。

ランニングの世界・友の会

このブログには「ランニング・エッセイ」と称したエッセイをいろいろな先生に投稿していただく予定です。
楽しみにお待ちください。

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